■ 遺産分割 |
遺言により、各相続人の取得する財産が具体的に記されている場合を除いて、
1.誰が
2.どの財産を
3.どの方法で
4.どれだけ取得するか
について、相続人全員で協議し、相続財産を分けます。
遺産分割協議に相続人全員が参加していなかった場合は、その分割協議は無効となってしまいます。
■ 現物分割
遺産そのものを現物で受け取る方法です。
現物分割は、各相続人の相続相当分通りに分けることが困難で、相続人間の取得格差が大きい場合、その分を他の相続人に金銭で支払うなどして調整します(代償分割)。
■ 代償分割
相続分以上の財産を取得する場合、その代償として他の相続人に金銭を支払う方法です。
■ 換価分割
遺産を売却して金銭に変換した上で、その金額を分ける方法です。現物を分割してしまうと価値が低下する場合などは、この方法が採られます。
遺産分割協議はあくまで、相続人間での任意の話し合いです。遺言書がある場合でも、受遺者は放棄することができ、法定相続分とは違う分け方にすることもできます。つまり、相続人全員で協議し、全員が賛成すれば、財産をどのように分けても良いのです。
誰が相続人になれるかは、民法で決められています。残された親族が誰であるかによって、相続できる人と相続できる割合が異なってきます。 民法によって定められた相続人を「法定相続人」と言います。亡くなった方と親族であったとしても、必ず相続人になれるわけではありません。
法定相続人の優先順位は、配偶者→子→父母→兄弟姉妹となります。
亡くなった方に |
相続分 |
配偶者と子がいる |
配偶者・子ともに1/2ずつ相続 |
配偶者と父母がいる |
配偶者が2/3、 |
配偶者と兄弟姉妹がいる |
配偶者が3/4、 |
配偶者のみいる |
配偶者が全て相続 |
配偶者がおらず、子・父母・兄弟姉妹がいる |
子供が全て相続 |
親の家業に従事して親の財産を増やした人、寝たきり状態の親を自宅で介護して親の財産の減少を防いだなど、被相続人の財産の維持、または増加に特別の寄与をしたと評価できる場合は、民法の規定により「寄与分」を別枠で受け取ることができます。
寄与分があるときの相続分の計算方法は
1. 相続財産から寄与分を差し引きます
2. 贈与分を差し引いた残りの財産を相続人全員で分けます
3. 寄与をした相続人は、自分の相続分の取り分に寄与分を加えます
例えば、寄与をした相続人が法定相続分の割合で、財産を取得することになった場合は
(相続財産-寄与分)× 相続割合 + 寄与分
となります。
死亡の何年前でも、相続財産に相続人のうち一人だけ住宅資金や、開業資金などをもらった場合、特別受益者にあたります。これらの贈与は相続財産の前渡しとして扱われ、調整されるべきであると判断されます。
相続人の中に特別受益者がいる場合相続分の計算方法は
1. 相続財産から特別受益財産を加えます
2. 特別受益財産を加えた財産を相続人全員で分けます
3. 特別受益者は、自分の相続分から特別受益を差し引きます
例えば、特別受益者が法定相続分の割合で、財産を取得することになった場合は
(相続財産+特別受益)× 相続割合 + 特別受益
となります。
相続税の申告や、相続した不動産の登記、預金や株式の名義変更など、すべての場面で遺産分割協議書の提出が必要です。
遺産分割協議書には、誰がどの財産を取得したのか明確に記載します。プラスの財産だけでなく、マイナスの財産についても記載します。
遺産分割協議書には決まった書式はありませんが、全員の署名捺印が必要で、印鑑は市区町村役場に届け出た実印を使用します。そして、印鑑証明書と一緒に使用します。
これに、相続人調査で集めた戸籍謄本と相続人関係図を添付し、登記所や銀行などの預金を下ろす手続きをします。
当事者同士で話し合いをしても、遺産分割協議がまとまらない場合は、家庭裁判所に調停を申し立てることになります。
遺産分割の調停は、相続人の一人あるいは何人かが、残る全員を相手方として申し立てます。調停手続きは、分かりやすく言うと、調停委員という第三者が2名、当事者の話し合いの仲介に入ってくれる手続きです。当事者の出頭が原則として必要ですが、当事者は待合室も別々で、それぞれの主張も別々に聞いてもらえます。
月に1回、2時間程度開かれ、1回目はそれぞれの主張をし、2回目以降で、相続人の範囲や遺産の範囲などを確定して、争点を明確にし、双方歩み寄りができるか調整していくことになります。調停を申し立てて、解決までに1年程度かかることも珍しくありません。
ただ、調停も基本的には交渉なので、声の大きな人の方に有利に働いてしまう可能性は否定できません。調停申立てにあたって弁護士に委任するメリットは大きいと言えましょう。
調停においても当事者で合意することができなかった場合には、調停不成立となり、当然に審判に移行します。
審判においては、訴訟手続きに近い形で手続きが進行し、必要に応じて証人尋問なども行われます。
最終的には、家事審判官(裁判官)がさまざまな事情を考慮して、遺産分割の審判をします。
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